benicandyの日記

公開型メモ帳のようなもの

数学ガール - ゲーデルの不完全性定理

 

読書感想文です.

 

数学ガールという本は,ある男子高校生とそれを取り巻く女の子たちが一緒に数学を勉強しながら青春を過ごすという物語(たぶん)形式で書かれた,数学の本です.現在シリーズ化していて本編は現在6冊あります.

 

それぞれタイトルは,

・(無印)

フェルマーの最終定理

ゲーデルの不完全定理

乱択アルゴリズム

ガロア理論

ポアンカレ予想

 

となっています.ほかに,別冊のような扱いとして本編より易しめに書かれた,”数学ガールの秘密ノート”というシリーズがあります.これは結構巻数があったと思うので,割愛.

 

私は今までに無印,フェルマーの最終定理,と順に読んできて,先日ゲーデル不完全性定理を読み終えました.率直な感想を述べると,とっても楽しく読むことができました.

 

ゲーデル不完全性定理の巻では,ペアノ算術に始まり,集合や論理,無限,極限,形式的体系,ε-δ,対角線論法と,いろいろなテーマについて語った後,ゲーデルの第一不完全性定理の証明についても高校生(と中学生)たちの会話形式で語られていきます.最後に,第二不完全性定理についての証明の概要が語られます.

 

この本のメインテーマは最後の章の証明ですが,そこに至るまでの様々なテーマも本当に興味深いものばかりでした.ε-δについては,大学の講義でさらっと紹介されただけで意味がわからないままだったので,理解が進んで楽しかったです.対角線論法なんかも興味深かったですね.

今まで数学ガールを読んできた感覚では,たまに難しくてちょっとわからないなと思う箇所がある程度だったのですが,このゲーデルの不完全定理の証明を扱った章だけに関していえば,ほんっとうに難しくて,終始ちんぷんかんぷんでした.50ページほどを読み切るのに5,6時間ほどかかったんではないでしょうか.でも,時間をかけて丁寧に読んでいると,理解は追いつかないまでも,なんとなくこんな感じかなというのがわかってきて楽しく読み進められました.

 

まず論理式や公理,推論規則などを定義したあと,ゲーデル数についても定義しました.ゲーデル数の考え方は本当に面白いと思いました.数学の素数という概念に記号的なものを当てはめることで,記号的なものを素数的な性質で解釈できるのですね.

そして,原子再帰的関数や述語の定義,表現定理の紹介を済ませたら,第一不完全性定理の証明に必要な大量の述語を定義していきます.この述語を定義する仕方が,なんというかプログラミング言語で関数を記述しているような感覚に似ていることに気付いてから(本文でも登場人物が指摘していました),少しだけ読みやすくなったように感じました.このあたりのことは全然知らないのでわかりませんが,もしかしたらここら辺からコンピュータの歴史は始まったのでしょうか.いずれにせよ,形式的に述語を記述していく作業は平凡で先が見えずやや辛いものもありましたが,この先にmain関数のようなもの(証明)で必要なのだと考えながら読むと,その意味の片鱗だけでも理解が進んだように思います.

最後の証明では,やはり何かこう,ついにここまできた...と思わずにはいられなかったです.その意味は全体の2割も理解できていないかもしれませんが,それでも何か感動しました.数学のすごさを改めて実感しました.続く第二不完全性定理の概要についてもさらっと証明がなされていました.この定理もとっても面白いものであることが十分に伝わる説明でした.

 

また数学以外の部分,高校生たちのドラマを描いた部分からは,数学とはまた別の,何かを自分に与えてくれた気がします.特に,9章最後のミルカさん(登場人物で,高校3年生の女の子)の言葉には自分も強く心を打たれました.ここではこの話に深入りはしないでおきます.

 

この巻は数学的な話からドラマの描写まで全部がとても面白くて,またいずれ読みなおしたいと思ってます.